『次世代の本音を社会にインストールして、地方地域から「だれもが未来にワクワクできる日常」を共創する』というビジョン・ミッションを掲げる。鳥取県用瀬地域をフィールドとして4つの事業「地域とZ世代がつながる拠点・交流事業」「離れていても鳥取とつながるZ世代コミュニティ事業」「食を通じて鳥取とつながるEC事業」「Z世代の視点を活かす受託・協業事業」を展開。

ブランドを大きくしていくことに課題

副業社員を募集したきっかけを教えてください

 当時、運営するコミュニティ事業をより大きくしたいと思っていたものの、漠然としていました。また当社のECサービス業『鳥取エモボックス』の展開に関して、ECサイトを運営したこともなければ、生産者さんと密なつながりがあるわけでもないというスタートであったため、当社にとって効果的な発信の仕方を検討し、ブラッシュアップしていく必要がありました。

 この鳥取県の取り組みについては、週一副社長という広告もあちこちで目にしていたので、もともと関心がありました。「とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点」に声をかけていただいたことがきっかけで、利用することになりました。

企業ブランドの構築とEC販売の戦略立案で多数の応募

副業社員を募集してみてどのような反応がありましたか

 副業社員の募集をして、反響としては17名の応募がありました。私たちが求めていることに注目、関心を持っていただけたというのがうれしかったです。応募者の経歴などで絞り込み、6月頃に4〜5人と面接をしました。「PR戦略」と「ECサイトでの販売」の役割で2名の方にお願いしました。お一人はすでに契約期間を終えていますが、もう一人の方とは今も半年以上続けて関わっています。現在は月に1~2回ご連絡してご相談するというかたちに落ち着いています。

 

その副業社員に決めた理由は

 今回、副業社員を活用する軸として、まずコミュニティ事業のコンセプトをしっかりと固めること、そのうえでEC事業の売り上げ目標を定めるという観点で人材を探していました。売り上げを出すにしてもブランディングや方向性がしっかりしていないと、販路も明確にはなりません。それらをよく踏まえ、2名の方とマッチングができました。お一人はオンラインでの販売手法に強く、こちらの業種の経験や強みがある方です。もう一人はマスコミ業界の出身の方で、広報やPR、コンセプトの構築、販売の戦略に長けた方で、お願いする運びとなりました。決め手となったのは、鳥取だからでなく「地方で若い世代ががんばっている」ということへ共感いただけたところがお二方に共通しています。

サイト整備の本格化と広報で認知拡大      

具体的な業務内容とその成果を教えてください

サービスのブランディング強化

 まず、なにが強みになるのか、なにを打ち出すべきなのかというところを明確にしていただきました。宿題として、なにをしたいか、どういう世界観で打ち出していきたいのかをブラッシュアップし、ミーティングの際に具体的なアドバイスもいただきました。突き詰めて考え、私たちは「とっとり愛」が強みで、私たちがまず鳥取のファンであること、鳥取のファンを増やしたいことを明文化していただいたと思っています。ブレない最初のスタート地点を明確にできたことは自信にもなりました。副業社員にも、PRや広報戦略はブランディングという土台が出来たあとに活用するものと教えられ、そのとおりの効果を実感し始めています。

 

強みを踏まえたサイト整備

 「とっとり愛」が明確にできたことで、さらに提案や助言をいただき、当社ECサイトの名称を『鳥取エモボックス』の名前に改めました。それまでの名称から変更となり、鳥取をアピールできるような親しみのある名称に定まりました。また、トップページにサブタイトルを入れるなどして、当社の強みや伝えたいことを打ち出していくことも具体的に実践しています。

 その後、新たな商品の販売なども続き、確実に以前より手ごたえを感じるようになりました。『鳥取エモボックス』は収益の柱とまでは言い難く、私たちのコミュニティ事業の宣伝という側面も強いです。しかしその反面、売り上げを伸ばしたい気持ちもあります。私たちのコミュニティの世界観を『鳥取エモボックス』にも掲載してPRすることも副業社員に提案してもらいました。小手先の販売戦略よりも、私たちの世界観を前面に打ち出すことがよいと言われ、自信になりました。

 

新商品掲載とメディア露出で認知拡大

 副業社員を活用し、サービス名が『鳥取エモボックス』となってから、さらに2つの新しい商品を販売できています。定量的な数字まではまだ反映されていないのですが、リピーターが増えたことが確実に可視化できているのは大きな成果です。それ以外では、副業社員の助言をいただき販促イベントを開催でき、メディアの方への対策としてプレスリリースの作成に関しても指南してもらいました。新聞やテレビでの露出も増え「こういうのやってるんでしょ」と言っていただけることが増え、確実に認知度が高まっています。鳥取市は地域密着なところがあるので、私たちのコンテンツも見ていただけるのが良いところ。副業社員にもコンテンツが育つことを楽しんでもらっているようでうれしいです。

 

―副業社員がもたらした効果はどのようなものでしたか

 当社事業はサービスのコンセプトが固まっていなかったという状態で、勢いに乗せて始まっていた部分もあり、私たち自身、なにが核になるのか腑に落ちていなかったんです。そんななか、副業社員に深く掘り下げていっていただき、事業のブランディングの基礎的な土台を固めていただいたことは大きな成果です。今はコンセプトがはっきりできたので、まだまだブラッシュアップをしていく必要があることも明らかにできました。事業の強みをベースとして、サイトをリニューアルしています。

社会をけん引する若い世代に貢献できる事業を継続する  

今後、会社としてどのように成長していきたいですか

 「地方地域Z世代の可能性をかけ合わせて、誰もが自分と社会の未来にワクワクできる日常を共創する」――これが私たちの事業のビジョンです。5年後くらいの目標として、若い世代が社会を引っ張っていくときに、今培っている私たちのコミュニティが本領発揮できればと思います。若い世代の声をもとに、世の中のプロダクトを作り出して、よりよい未来、社会へとつなげていきたいです。『鳥取エモボックス』を、食に限らず観光、移住など多様に鳥取のファンを増やすために活用していきたいと思います。

 

まだ副業社員を活用したことのない企業に向けてメッセージをお願いします

 外部の人材に頼むということは、最初の一歩は誰しもハードルが高いものです。しかしこの副業社員のマッチングは「とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点」がサポートしてくれるので安心です。小さいプロジェクトのこの部分なら切り出せるというところを見つけ、まずは気軽に試してみることをおすすめします。

 

 副業社員も自分たちも、お互い良い関係性を得られたら、越境人材を組織内に巻き込める可能性があります。副業社員は本当に様々な知見や経験があり、他業種の意見、助言がいただけるのは素晴らしいです。枠にとらわれずにいろんな分野にチャレンジしたい人によいと思います。