人生の様々な節目「LIFE TIME」の、衣装レンタルから写真、食事やイベントに至るまで、トータルにプロデュースする会社。「LIFE TIME PRODUCE COMPANY」を目指し、多くの方々に喜んでいただける仕掛けづくりに力を入れている。自社の強みをより尖らせるべく、副業人材の活用を通して、新しい事業のあり方を模索中。

これからの時代に合った、新しい働き方になると思った

副業人材を募集された背景を教えてください

 副業人材を募集したのは2021年5月、当社では初の試みでした。コロナ禍の影響もあり、当時お客様とのオンライン商談の機会が増えていましたが、設定に手間取ってしまうことが多く、商談の段取りが良くないと感じていました。オンライン商談でも、お客様の人生の大切な節目をしっかりプロデュースしたい。そのためには何かしら改善しなければならないと思い悩んでいた際にタイミングよく、今回の取組みのことを知りました。

 

 これまでにないサービス内容に魅力を感じて、「オンライン商談の仕組化についてのサポート」を依頼することにしました。また、こちらのプロジェクトが好調に推移したこともあり、2021年12月には2回目の募集も行いました。

 

これまでにない副業人材活用の魅力とは

 ある程度のスキルが保証されている経験者を、3ヶ月などのスポットで活用できる点です。一般的な中途採用はとてもエネルギーが必要なうえ、これまで現場配属の後になって、その方の向き、不向きがわかることがありました。

 

 一般的な中途採用でよく起こる担当業務のミスマッチは、社員はもちろん、会社にとっても不幸なことです。副業人材の活用であれば、ミスマッチの判断を付けやすく、投資リスクも低いので、最適な人材に新しいプロジェクトへご参画いただくことができる。これからの時代に合った、新しい働き方になるのではないかといった期待もあり、副業人材の活用に不安はありませんでした。

 

2回目の募集ではどのようなご依頼をされましたか

 注力事業と経営課題の整理です。当社は小規模ながら衣装レンタルをはじめ、式場紹介、結婚式のプロデュース、ゲストハウスの運営、写真やEC事業など様々な事業を展開していますが、一部事業に関しては撤退も含めた経営の立て直しが必要だと考えています。なぜなら、従業員数9名の限られた人的リソースでは、各事業に選任スタッフを育成・配置できず、代表の私一人では手一杯になってしまっていたためです。

 

 自社の強みや経営課題を整理した上で、一度事業の選択と集中を行いたい、中期経営戦略を立てるためにも、相談相手となる外部の力が必要との考えに至り、2回目の募集を決めました。

ユニークな経歴、資格を持つ経験者を選考

募集した時の状況はいかがでしたか

 二つの案件で、合わせて28名の方からご応募があり、魅力的な経歴をお持ちの方からたくさんのご応募をいただきました。「オンライン商談の仕組化向けプロジェクト」で採用した副業人材は、某大手旅行会社にお勤めで30代前半の方です。過去に海外の支店での勤務経験があり、ユニークな経歴に目を惹かれたのを覚えています。オンライン商談の経験があったため面談したところ、キャリアに関する考え方に芯があり、何よりお話していてとても楽しかったことを覚えています。言葉のキャッチボールがスムーズで、会話が自然と盛り上がり、「この方とならワクワク感を持って、一緒に仕事ができそうだ!」と直感したので、選考は即決でした。

 

2回目の案件についても、選考の決め手となったポイントを教えてください

 「注力事業・課題の整理と中期経営戦略の立案プロジェクト」で採用した副業人材は50代前半で、某大手メーカーで経営戦略策定に長年携わってこられた方です。現在はご自身で会社を立ち上げ、MBAの資格もあり、これ以上ない経歴をお持ちの方でした。他の候補者と比べ、事前に作成いただいた提案資料の質も高く、2回目の選考も時間はかからなかったです。

 

お願いしたいプロジェクトが次々と増えていった

副業人材の方と、それぞれどのようにプロジェクトを進めましたか

 実は「オンライン商談の仕組化向けプロジェクト」では開始して間もなく、想定外の事態に直面しました。コロナ禍の影響もあり、ウェディング事業を事実上休業しているかのような時期もあり、オンライン商談の仕組みづくりが緊急課題ではなくなってしまいました。

 

 副業人材はWebを活用の知識や経験もあったため、プロジェクトの途中で、競合他社がどれだけオンライン商談に力を入れているか、調査をお願いすることにしました。鳥取県内だけでなく、県外の有名企業の動向も調査してもらった結果、都会の顧客満足度No.1クラスの企業はいわゆる値引き商法ではなく、自社独自の圧倒的な強みを全面に打ち出して、完全に独自路線を推進していることがわかりました。調査レポートの結果は、自社の強みをお客様にわかりやすく伝える重要性を裏付ける内容で、とても感銘を受けましたし、事業の選択と集中を行う必要性を感じたきっかけにもなりました。

 

 調査終了後は、昨年10月から2022年1月にかけ、見積書の電子化をはじめ、デジタライゼーションの推進化プロジェクトをお願いしています。また、競合店調査の途中で、副業人材の方が海外支店でWeb開発プロジェクトのマネジメントに要件定義から携わっていた経験があることも知り、社内のデジタライゼーションもお願いすることにしました。副業人材の方の経歴とスキルをより深く理解すると、新しい案件を打診しやすくなると感じました。

 

もうひとりの副業人材とのプロジェクトの進捗はいかがでしょうか

 「注力事業・課題の整理と中期経営戦略の立案プロジェクト」が稼働したのは2022年に入ってからで、まだスタートしたばかりです。どの事業を注力すべきなのか、そもそも真に解決すべき課題は何なのか、まずは現状の分析と整理に時間をかけたいと考えています。中期経営戦略の立案はその後に行っていく予定です。

 

多くの領域で副業人材を活用したい

副業人材を迎え入れて良かったと感じた点について教えてください

 異業種の方との接点を持つことで、新しい視点を得られたのは、想定外の収穫でした。副業人材とは週に3時間、定期的にミーティングをしているのですが、本題の合間に旅行業界のトレンドについて雑談することがよくあります。その雑談の内容がものすごくためになります。

 

 例えば、全国の名品をお取り寄せして、お家にいながら旅行気分を味わえるサービスの話や、旅先の旅館や農家でバイトしながら旅行するスタイルがトレンドになっている話をしています。旅行業界という他業種が模索している試みを、雑談を通して教えていただけると、私たちの業界にも活かせるんじゃないかと参考になります。

 

今後の事業ビジョンがあれば教えてください

 他社と圧倒的に違う当社独自の強みやサービスの魅力を、わかりやすく伝えていくことが今後の事業展開ではとても重要です。当社の強みは、オリジナル和装ブランド「和装遊戯」です。全国の作家や職人とのつながりを活かし、ドレスのように軽やかに着れる着物を独自に生み出し、そのスタイリングやコーディネートには定評をいただいています。そのような衣装や、写真撮影などのサービスをサブスク型での提供に転換できないかと考えています。

 

具体的にどのような領域に副業人材を活用予定ですか

 SNS運用とDX推進の領域です。LINE公式アカウントとDMを組み合わせることで、新しいプロモーション戦略を構築したり、お客様に関する情報の紙による管理を最大限に減らすことを目的に、Googleフォームから得たアンケート内容や回答結果をGoogleスプレッドシートや、、公式ラインと連携できないかなど模索しています。副業人材にお願いしたい領域は、まだまだあります。

 

 当社の社員と副業人材がタッグを組み、さまざまな事業領域で新しいプロジェクトを立ち上げ、スピード感を持って実現させていく。そんな未来を想像すると、経営者としてワクワクします。