マッチング事例 CASE.25株式会社モリックスジャパン
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1946年創業。「オフィスのことならモリックスに」を合言葉に、オフィス家具の販売、システム機器の販売保守などを行う。顧客のニーズに素早く応える地域密着型の企業として、鳥取県東部・中部を中心に顧客は約1,500社。100年続く企業を目指し、変革期を迎える。
100年企業に向けた人事制度刷新
副業人材を活用された背景を教えて下さい
現在の人事制度は15年ほど前に定めたもので、当時とは働き方も大きく変わり現行のものではカバーしきれない部分が出てきていました。また、元々取引先でもある大手メーカーの人事制度を参考に作成したもので、会社規模の違いから運用が合わない点もあり自社に合ったものに作り替える事にしました。当社は2021年に創業75年を迎え、この先100年続く企業を目指して変革期を迎えています。新しいモリックスのために、人事制度刷新は大切なプロジェクトだと捉えていました。
昇格の基準などを明確にし、可視化することで、社員のモチベーション向上に繋がると考えています。とはいえ、当社にはそのようなノウハウがありませんでした。また、当社では総務部が人事業務も兼ねている状態だったので、社内で対応するのは難しく…。外部の力を借りようと考えていましたが、具体的に「誰に頼むか」は、分からずにいました。そんな折、副業人材活用の存在を知りました。身近に副業人材を活用している企業がなかったため、良くも悪くも固定観念がなく「優秀な人に出会えるのであれば、お願いしてみよう」という気持ちで募集を決めました。
制度刷新について、具体的なイメージはありましたか
ポイントは大きく三つありました。一つは昇給・昇格の基準を明確化すること。現行制度にある曖昧さをなくし、会社と社員間のギャップを埋めたいと考えていました。二つ目はエキスパート職を設けること。現状はマネジメントコースのみのため、専門性の高い業務を担う方のキャリアコースとして、エキスパート職を設けたかったんです。三つ目は評価軸に「クレド(行動指針)」を盛り込むこと。2018年にクレドを設定したため、それに沿うように行動評価も含めた評価制度にしたいと考えていました。
「まさに」なノウハウをもつ方とマッチング
募集した際の状況はいかがでしたか
22名の方からエントリーいただいたのですが、素晴らしい経験をもつ方ばかりだったので「こんな優秀な方が当社に時間を使ってくれるの?」と驚きました。書類選考では経験値を、面談では副業の目的を重視して選考。当社にとって重要なプロジェクトでしたし、人事制度刷新から定着まで伴走していただきたいという思いもありました。そのため「培ったスキルで役に立ちたい」という想いを持ち、中長期的に伴走していただける方を選んでいきました。
副業人材に関して、決め手となったポイントを教えて下さい
この後インタビューにも出てくださる副業人材の市川さんについては、ノウハウが抜きんでていました。人事領域全般のご経験があり、社会保険労務士の有資格者。人事制度の改定や制度定着の設計なども本職で経験されており、当社にとって「まさに」なノウハウをもった人材でした。また、落ち着いた雰囲気があり、丁寧にお話しくださる人柄にも惹かれました。
プロジェクトを推進する、心強い存在
2021年7月にスタートされたプロジェクトはどのように進めていますか
副業人材の市川さんには、制度設計から定着まで全面的にお任せする方針でご依頼しています。まずは現行制度の課題をヒアリングしてもらい、それをもとに新制度の設計をしていただきました。その後は意見交換を繰り返しながら修正を進め、現状は、先にお伝えした三つの刷新ポイントを踏まえた基本設計が固まりつつあるところです。新制度のリリース目標は2022年10月。まだ道のりは続きますが、誰の力を借りたらよいか悩んでいた当社にとって、市川さんの存在は本当に心強く、助けられています。
副業人材と仕事をするなかで、得られた気づきや学びはありますか
プロジェクトの進め方でしょうか。私自身、こんな長期のプロジェクトを運用した経験がなかったので、注意点や、何を工夫したらよいのかなどを、市川さんの仕事を見ることで学んでいます。印象的だったのはコミュニケーションの取り方。情報共有やディスカッションは全体会議、本音を聞き出したいときは個別のミーティングと、状況に応じてコミュニケーション手法を変えていらっしゃって。プロジェクトにはさまざまな人物が関わりますから、こうしたコミュニケーションの気配りが欠かせないのだと気づかされました。
企業、そして地域のために
プロジェクトを通して、どのような変化がありましたか
課題を解決する方法として「副業人材を探してみる」という選択肢が増えました。変革期にある当社は、今後もさまざまな課題に向き合うことになると思いますが、ノウハウ不足に悩んだときは、またぜひ活用を検討したいと考えています。従来の採用という手法だけではなく、副業人材という新たな選択肢を増やせたのは、本プロジェクトで活用の魅力を知れたからこそです。今後、副業という働き方はさらに拡大していくでしょうし、活用に興味を持っている企業は鳥取県内にもたくさんあると思います。成功例の一つとして、当社の事例も積極的に発信していきたいですね。
最後に、活用を迷われている企業に向けて、メッセージをお願いします
私たちは本プロジェクトで素晴らしい副業人材と出会えました。でも、もし副業人材とは別の選択肢を選んでいたとしたら…。これほどのハイスキルをもつ方とは出会えていなかったかもしれません。ノウハウ不足に悩む企業にとって、社員でなくても力を貸してもらえる副業という仕組みは、ベストな選択肢になると思います。従来の採用だけに捉われず、ぜひ前向きに活用を検討してもらいたいですね。
また鳥取県では、副業・兼業・ワーケーションを通して「関係人口」を増やそうという取り組みを進めています。私たち地元企業が積極的に副業人材を活用することは、関係人口増加の後押しとなり、地域振興にもつながるはず。企業にとっても、地域にとっても、メリットが大きいと言えるのではないでしょうか。
副業人材の市川さんにもお話を伺いました
本プロジェクトに応募された理由を教えてください
これまで人事領域全般を経験してきました。副業は初めてでしたが、人事制度の改定は特に経験値があったので、培ってきたナレッジが役に立てると確信し、応募を決めました。また、老舗企業の実績がありながらも、挑戦し続けるモリックスジャパン様の姿勢に共感したのも理由の一つです。そのような企業の課題解決に伴走することは、自身の成長につながるかもしれないという期待感もありました。あとは、モリックスジャパン様から「中長期的に支援してほしい」と言っていただけたのも大きかったです。私は「人事制度は短期的に成果が出るものではなく、社員に定着させていくことが重要」と考えており、副業でも定着まで取り組める働き方を望んでいました。そのため、中長期的に伴走できるこのプロジェクトは、私の希望とも一致していました。
プロジェクトで、工夫された点があれば教えてください
プロジェクトを進めるにあたって、誰がどのような課題を持っているかを知りたかったのですが、オンラインが中心のため距離が生まれ、課題感が掴みにくい状態でした。そこで、個別にコミュニケーションを取るようにしました。オンラインに変わりありませんが、個別に話すことで心理的距離が近づき本音を話していただけるようになりました。社長、総務部長、若手社員と、立場ごとにそれぞれ課題感は異なりますから、きちんとキャッチアップできたのはよかったです。
ご自身のキャリアにおいて、副業がプラスに働くと感じたポイントはありますか
副業という選択肢をもつこと自体が、キャリアの拡張につながっていくと感じています。会社勤めでも手を挙げればやりたいことに挑戦できますが、でもそれはあくまで一企業の仕組みのなかでしかありません。副業であれば、自分の役立てたいスキルを日本中の企業とマッチングでき、選択肢を広げられます。そうした会社の枠を越えた働き方は、今後のキャリアのよい刺激になると思います。