創業から100年余。オリジナルメニュー「餅しゃぶ」をはじめとする料理を提供し、地元民や観光客から愛され続けてきた。老舗の餅屋という立ち位置にあぐらをかくことなく、ECサイトやSNSの活用など、販路の拡大にも注力しはじめている。

販路拡大のノウハウを、外から取り入れていく

募集当時の経営課題について教えてください

 コロナ禍を皮切りに、店舗以外での販路であるECサイトの運営に力を入れていきたいと考えました。元々、コロナ禍以前からECサイトはあったものの当時のお客様層は一度店舗にお越しいただいた、リピーターの方がメインとなっており、運用の温度感も店舗の味をもう一度食べたいと思っていただいた時に、注文していただけたら程度の立ち位置でした。しかし、コロナ禍による自粛で今のままでは集客が厳しいという事実を強く実感することとなり、今こそ店舗に次ぐ販路としてECサイトを育てていかなければ、と強く思っていました。

 

副業人材を活用しようと思ったきっかけを教えてください

 ECサイトの運営強化を思い立ったのはいいものの、どのように進めていくべきか、私たちにはノウハウがありませんでした。悶々と悩んでいたところに、副業人材を活用した鳥取県の取り組みを知り、今の課題解決の糸口となるのではないかと思い立ち、活用に踏み切りました。課題解決の別の手段として、外部のコンサルタントを活用するという考え方もあると思いますが、私としてはコスト面や心理的な敷居が高いことがネックでした。そういう側面でも、今回のようなプロジェクトの存在は非常にありがたかったです。

 

面談だけで、新たな学びが得られた

今回採用された方は、どのような方ですか

 マーケティングやSNS運用の経験がある方です。実は最初、現状の課題に対して最初に取り掛かるべきことは、ECサイトのデザイン改修ではないかと考えていたので、デザインの知見がある方を選考基準に置いていました。しかし、その考えは、はじめに面談を行った方のアドバイスで180度変わることとなりました。その方は面談中に当社の課題をすり合わせる中で、現状ではデザインよりも、EC上の売上導線そのものに目を向けられる方のほうが、現状改善につなげらると思うので、採用基準から見直した方がよいのではないかというアドバイスをしてくださったのです。

 

面談時点で、すでに新しい気づきがあったということですね

 はい、いただいたアドバイスは目からウロコでした。面談前の自分にはなかった気づきを得られたことは、非常にありがたかったです。結果として、上記スキルの保有や金銭面の兼ね合い、そして当プロジェクトに関して伴走してくださるかどうかといった熱量を踏まえて、おひとりの方にお願いすることに決めました。

 

副業人材が、経営の「よき相棒」に

副業人材にお任せした業務について教えてください

 現在、副業人材とSNSのアカウント開設を進めています。最初の稼働時、副業人材にはInstagramとTikTokのアカウント開設を勧められました。元々お客様層の中心はご年配だったため、SNSで若年層を中心にアプローチしていくのはどうか、と提案いただいたことが背景です。今は、どんな情報を投稿すれば振り向いてもらえるかなど、基礎的なところからアイデアをいただいています。アカウント開設と並行して、SNSを活用したキャンペーン施策も検討しています。私たちの商品や料理の写真を投稿していただいた方への特典を用意してみてはどうか、と提案もいただきました。この施策をどう運用していくかも、一緒に検討しています。

 

副業人材の協力で得られたメリットはありますか

 今まで経営に関する相談相手がいなかった私にとって、経営戦略を直接話し合える副業人材と一緒に取り組むことはとても勉強になっています。たとえば、自社のサイト分析ひとつとっても、お客様がどんなページをよく見ているのか、またどういう経緯を経て購入に至ったかを知る方法など、分析の方法を丁寧に教えていただきました。今までは自分で調べるか、同業他社の知り合いの方に聞くしかありませんでしたが、Web活用という側面から見ると、鳥取の飲食界隈はまだ発展途上だと感じています。そのため、外部からより専門的な知見を取り入れることは、非常に刺激的でした。また、Webマーケティング以外の疑問や悩みも気軽に相談できるので、非常に心強いです。たとえば、このパンフレット制作会社の価格は適正か?、商品の送料設定はいくらが適切かといった相場の質問、さらには実店舗運営上のささいなことまで、遠慮なく相談させてもらっています。副業人材はすでに私にとって、頼れる相棒のような存在になっています。

 

最後に、活用を迷われている方へのメッセージをお願いします

 運営を進めるうえでは、1人で考えるよりも、専門的なアドバイスをいただける人材がいた方が心強いと感じました。実際、副業人材と進めた方がスムーズに課題解決へ向かっていきましたし、地方にない考え方や学びを取り入れられるという側面もあります。鳥取にいるとなかなか出会うことのない優秀な人材と接点を持つことができる、よい機会だと思います。副業人材は遠方の方が多いため、オンラインでのやり取りが中心にはなりますが、そこに抵抗がなければ、ぜひ活用してみてほしいなと思います。