七五三、卒業式、成人式、結婚式など、人生における複数のターニングポイントで、重要な役割を担っている着物。シーンに合わせて幅広い種類の着物を取り揃え、レンタル、着付け、写真撮影、クリーニングなど、着物に関するサービスをトータルに展開。

大手ECモールに頼らず、店舗を知ってもらいたかった

副業人材を募集されたきっかけを教えてください

 新型コロナウイルスの蔓延によって、当社も少なからず影響を受けていました。来店ハードルが上がっただけでなく、呉服はもともと利用年齢層が上がっていることもあり、店舗に足を運んでもらうための「新しいきっかけ」が必要だと感じ始めたのが、最初のきっかけになります。その取り組みの一環として、2021年から自社サイトでの商品販売をスタートしています。同年8月にスマホ対応も行ったのですが、ネット領域に強みをもったスタッフがおらず、ECサイトの見せ方や運用方法について、何をどうすべきかという判断ができずにいました。

 

大手ECモールを利用する選択肢もありましたが、当社はあくまで店舗が本業と考えていましたので、ECモールで売り上げを伸ばしていくというよりは、ネットを通じて店舗にお越しいただく方法を模索していました。そのような中で今回のお話をいただき、場所を選ばないことで良い方と巡り合えるのであれば試してみたいと思い、副業人材の募集を決めました。

 

幅広い知見を取り入れるチャンスだと感じた

応募状況に関して、率直な感想を教えてください

 思ったより応募が来たという印象でした。経験豊富な方も多く、選択の幅も格段に広がりました。そのため、どの方を選ぶべきかという嬉しい悲鳴に頭を悩ませたのが正直な感想です。スタッフの意見も取り入れながら経歴を見つつ、スタッフとの相性、和に対する関心などを判断材料にして、選考を進めていきました。

 

最終選考ではどのようなポイントが決め手になりましたか

 採用理由として、前述の要素はもちろんですが、何より受け答えが好印象でした。「無理です」「ダメです」といった指摘ではなく、私たちのやりたいことに寄り添っていただき、「それなら、こんなやり方はどうでしょう?」と前向きで、かつ具体的な提案をいただけたことが信頼につながりました。スタッフと年齢が近く、安心してコミュニケーションが取れそうと感じたのも、大きな理由かもしれません。

 

プロジェクト終了後の手離れまで考え、共同で進められた

プロジェクトでは、どのような取り組みを行いましたか

 今回は、数ある商品の中でもプリザーブドフラワーに注力したいという想いがありました。非対面でのやり取りだったので、Zoomで定期的に意見を交換して、自社ECサイトも見ていただきながら、細かい部分をメールで補うといった方法で話を進めていきました。今がダメということではなく、シチュエーションに応じて商品の種類を増やしたり、専用のSNSアカウントを開設・運用することで、20代~30代の女性ターゲットに商品の魅力をもっとアピールできるのではないか、と前向きなアドバイスをいただきました。

 

 SNSに関しては、女性ユーザーが多く、写真ベースで情報を探せるInstagramを選びました。副業人材にはプリザーブドフラワー専用のアカウントを作成し、実際に投稿もしていただきながら、写真の選び方や文章の書き方、設定するタグ、ECサイトへの誘導方法などを学ばせていただきました。また、より多くの方に商品を知っていただくための施策として、Googleの広告出稿やメルカリの法人アカウント登録を行いました。実際の画面を一緒に見ながら、設定の仕方や数値の見方まで細かくレクチャーいただけたお陰で、未経験のスタッフでもある程度は運用できるようになりました。プロジェクト終了後の手離れまで考えて動いていただき、私たちも大変助かりました。

 

来店数が回復しはじめ、若年層の来店も増加

プロジェクトが始まった後の変化について教えてください

 まだ途中経過ではありますが、新しいお客様の認知は取れていると感じています。何より実感しているのはお客様層の変化です。Instagramを始めてから、20代~30代前半の若い女性が店舗に足を運んでくださるなど、これまで呉服屋に入ったことのない方々が、当社のプリザーブドフラワーを目当てに来店されています。「インスタ見たよ」と言ってくださるお客様もいて、そこから会話が広がるといったよい状態が生まれていると感じました。アカウント開設から2か月程度ではありますが、順調にフォロワーが増えています。また、広告運用でも一定のリーチ数を獲得できているのは、大変ありがたいことです。売上に大きく貢献するのはまだ先の話にはなりそうですが、店舗を知ってもらう、来店に結びつけるためのツールとしては有効だと感じています。自社ECサイトの訪問数も伸びていて、今後の成長にも期待できそうです。

 

今なら、不安よりも期待のほうが大きいといえる

副業人材の活用をどのように感じましたか

 私たち自身が副業者との活動は初めてでしたので、上手くやっていけるだろうかという心配はありました。しかし、副業人材は私たちのやりたいことに対して的確かつ素早くレスポンスがあり、内容もポジティブに考えていただけるので、非常に良い方と巡り合えたと感じています。現在(2021年12月時点)も継続で一緒に業務に取り組んでいて、今後はプリザーブドフラワーだけではなく、別の切り口での業務依頼も考えていきたいと思っています。

 

副業人材の活用を検討されている方にアドバイスはありますか

 少し前の内容と重複する部分もありますが、ありがたいことに沢山の応募が集まるので、1人を選ぶのが難しいです。経験豊富な方が多いのもあって、経歴に書かれている専門用語が分からなくて、募集条件と合致しているか不安に思う場面はありました。ですが、結果的に私たちはご縁に恵まれていたと感じていますし、これまでにない知見を取り入れるという意味では、間違いなくプラスなるのではないかと思います。

 

副業人材の金谷さんにもお話を伺いました

応募された背景を教えてください

 本業ではECモールでのマーケティングに関わっているのですが、行田足袋も取り扱っていて、伝統工芸品を身近に感じていました。本プロジェクトは取り扱う商品に親近感があり、私自身の経験が活かせそうでしたし、何より和に対する興味もあったので、応募を決めました。

 

実際に業務を進める中で、工夫したポイントを教えてください

 重視したのは、ターゲット設定です。当時のECサイトはターゲットに曖昧さがあり、誰に対して何を届けるのかをきちんと定義する必要があると感じました。そこで私が目を付けたのが、SNSとの連携です。実際にFacebookとInstagramにはすでにアカウントをお持ちでしたが、プリザーブドフラワー専用のアカウントはありませんでした。SNSで何かを探す理由として、「買いたい」「知りたい」「行きたい」などの目的があるかと思いますが、既存アカウントは商品以外の情報も発信されていたので、目的に応じて使い分けたほうが良いと感じ、専用アカウントの開設を提案しました。

 

副業がプラスに働くと感じるポイントはありますか

 本業で得たスキルを活かして働くというのが副業の一般的なイメージだと思いますが、私は今回のプロジェクトを通じて、本業でも活かせる経験を得られたと感じています。特にGDNを使った広告運用は経験がなかったのですが、企業様とお話したうえで試しながら進めることができたのは、私にとってもい経験になりました。