マッチング事例 CASE.09株式会社緑工房
- 副業
- 週1副社長プロジェクト
純国産きくらげを栽培、飲食店などに販売するほか、個人向けのECも積極的に展開している。「きくらげを食べる文化を作ること」をミッションに、個人向けのきくらげ栽培セットや稀少な「白いきくらげ」の生産など新しい取り組みを行っている。
企業の特徴について教えてください
緑工房の事業は3つあり、1つ目はきのこの菌床製造販売事業、2つ目はきのこの栽培加工販売事業、そして3つ目はEC事業です。きくらげを生育させる上で重要なのは、きくらげが快適に成長するためのベッドのような「菌床」というものなのですが、これもすべて国産の原料にこだわっています。
元々緑工房はしいたけの栽培をしておりましたが、国産食材にこだわる大手飲食チェーンより国産のきくらげを栽培できないかとのお声かけがあり、試行錯誤の上きくらげの栽培に舵をきりました。現在はお声かけ頂いた飲食チェーンで取り扱われているほか、ECサイトでも販売をしています。日本国内で流通しているきくらげの内97%ほどが中国産という状況の中で、国産きくらげの市場価値を高めていきたいと考えています。
副業人材を募集したきっかけと当時の経営課題は何ですか?
きくらげを栽培していると、数万分の1の確率で白いきくらげが生まれます。きのこ業界において白いきくらげを販売しているのはまだ1%に満たない程度ですが、緑工房はその白いきくらげに商品価値を見出し大手メーカーが開発した種を使用して商品化を実現しました。きくらげは黒色の主張が強く料理の見栄えに影響しますが、白のきくらげですとサラダや色が映える料理にもお使い頂けます。
今後は、この白いきくらげの栄養成分に着目し、食品分野以外での商品開発をすすめていきたいと考えています。しかし、緑工房は食品以外での商品開発のノウハウがなかったことから、異業種の副業者に力を貸して頂きたいと思い今回Skill Shiftの鳥取県特集で求人を募集しました。
応募状況はいかがでしたか?
募集をかけて1週間で7名の方から応募があり、短期間で予想以上にご応募頂いて驚きました。これ以上長く募集してしまうと「選びきれなくなってしまうのでは」と思ったので1週間で掲載を打ち切り、選考に移りました。
採用基準はありましたか?
今回ご依頼したい仕事内容が白いきくらげの商品開発であったため「様々な分野での商品開発に知見がある方」というのを条件に選考を進めました。まず、書類選考を行い応募があった7名の方の経歴やスキルを拝見して3名に絞りました。その上で3名にはオンラインで面談をし「白いきくらげを活用してどのような商品化を目指したいか」という内容でコンペティションを開催しました。
3名の内、1名は食品業界で商品開発に関わったことがある方、1名は調理師で食べ方の提案ができる方、もう1名は化粧品業界で商品開発の経験がある方でした。食品の加工分野や食べ方の提案は緑工房にも知見や経験がある中で、食べること以外の活用方法を見出したいと考え、化粧品業界で商品開発をされていた方を採用しました。
副業者との仕事の様子について教えてください。
月に1度または2度、オンラインで打ち合わせをしています。
最初は改めて緑工房の事業説明や今後展開していきたいことを説明し、それに基づいて選考時のコンペティションよりも具体的な提案資料を作成してもらいました。今は提案を受けて今後の方向性を決めているところです。オンラインやSNSでのコミュニケーションができるので、距離が離れていることに対するやりにくさは感じないですね。
副業人材と仕事をする上でどのようなことを求めますか?
世間の状況において難しいところもありますが、やはり一度現場を見てもらいたいです。
きくらげという生き物を扱っているので、写真や文字のような情報だけでは伝わらない部分がどうしてもあります。自分が感動していないとその感動を人に伝えるのは難しいと思うので、生のきくらげを見て「すごい!」と感じてもらった上で、他の人たちにその思いを伝えていってもらいたいと思います。
また、地方で経営していると都市圏の企業情報が耳に入ってきにくいので、最新情報をふまえた多角的な目線で意見をもらうことで企業として成長できるのではと感じます。
コンサルタント企業やOEMとの協業の場合、初期投資をして事業が立ち上がったら関係性がなくなってしまうこともあります。一方で副業人材の場合、お互い可能な範囲で協業することが前提となるため長い目でお付き合いしていけるのではないかと思っています。
お互いにゆっくりと理解した上で、いつか副業じゃなく本業にしてもらえたらありがたいという気持ちもあります。そのタイミングが来たときに、本業先として選んでもらえる会社を目指していきたいですね。
今後会社としてどのように成長していきたいですか?
きくらげはまだまだきのこの種類ではマイナーだと思うので、少しずつみなさんの生活に浸透させ「きくらげを食べる文化を作ること」が今後の緑工房の使命だと考えています。そのために菌床の販売に引き続き力を入れていきつつ、様々なコンテンツを持つことで認知を広げていきたいと思っています。
白きくらげも最初は珍しさで目に止めてもらって他のきくらげを知るきっかけにし、幅広い業種に展開できればと思います。これまでクラウドファンディングを活用して話題性づくりをしたことがありますが、副業人材の活用も認知を広げる武器の一つとして考えています。
まだ副業人材を活用したことのない企業に向けてメッセージをお願いします。
正社員の採用においては、採用後に雇用する側と雇用される側で認識のズレが生じることがあるかと思います。副業人材の活用では、ゆるやかに企業そのものや仕事内容を知ってもらえるので、雇用のリスクを軽減することにつながると考えます。
長い目で採用活動をする場合、副業者の活用を検討してみるのは1つの有効な手段でしょう。