マッチング事例 CASE.21株式会社ヤードクリエイション
- 副業
- 週1副社長プロジェクト
1983年創業。『遊び心で豊かさを創造する』をミッションに掲げ、地域密着型の書店を主事業として展開。2021年11月には、より「創造的」な会社へと変化を遂げるべく、社名を変更。書店業という枠を超えた事業設立にも果敢に挑戦している。
独りで悩むより、誰かの手を借りてみる
副業人材募集のきっかけと、当時の経営課題を教えてください
今回の募集で解決したかった課題は、大きく分けて二つありました。一つは、店舗の業務効率化を図るための仕組みづくり。もう一つは、店舗の在り方や魅力そのものをどう発信していくのかを見直し、検討することでした。
双方の課題は常に頭の片隅にあったものの、私自身目の前の業務に追われ、どちらもなかなか着手できていない状態が続いていました。そこに、副業人材活用のお話をタイミングよくいただいたため、これは大きなチャンスだと思い活用を決めました。また、元々代表である私自身が、経営に関する相談相手を求めていたという気持ちもあります。当社は先代の時からトップダウンの風土で、社内に参謀役の存在を育成できていませんでした。そのため、今までの経営課題はすべて私、ないしは先代が戦略を考え、指示を出していたのです。しかし、常に責任とプレッシャーが付きまとい、率直に言えばストレスの大きい環境下だったので、「このままひとりで悩むくらいなら、いっそ副業人材に頼ってみよう」…そう思い立ったのも、きっかけのひとつでした。
副業人材の募集結果と、選考基準について教えてください
21名からの応募があり、最終的に3名の方にお願いすることにしました。選考で重視した点は本屋に対する考え方や想いです。書店業は斜陽産業と言われている中で、面白い本屋をつくりたいという強いお気持ちがあるかどうか。そして、あくまでも取引ではなく、私たちと伴走してくださるスタンスであるかを重視しました。
実際稼働してみて、副業人材が積極的に課題に向き合ってくださっているところを見ると、このフィーリングは大事にしてよかったな、と強く感じています。
副業人材にお任せした業務を教えてください
現在お任せしていることはマニュアル作りと企業全体のリノベーションに向けた壁打ちです。前者は、PDF形式や動画形式のマニュアルを作成中です。当社のスタッフと副業人材、双方で現場業務の要点をすり合わせながら、マニュアルに落とし込んでいます。
後者は、当社の在り方そのものを見直し、魅力を再定義するための戦略立てをサポートいただいています。具体的には、企業理念や仕事に対するスタンスなど、当社を形作る要素をどのように店舗のコンセプトとして落とし込むかのアドバイス。そして、その後のプロモーション運用をどう進めるか、意見の壁打ちをお願いしています。
旧き企業風土に、新しい風が吹く
プロジェクトを通じて、どのような変化がありましたか
まず、私自身の変化として、考え方の視野が広がりました。元々経営課題は自分の中で完結しなければならないという思い込みが強くありましたが、副業人材に相談することでいろんな人の力を借りてもいいんだと思えたのは大きな変化です。また、スタッフの認識にも変化が生まれたように思います。先ほども少し触れましたが、元々当社はトップダウンの風土。今まで、スタッフから自主的にアイデアや意見を提言することが少なく、常にコミュニケーションが一方的になりがちだったことに危機感を覚えていました。
しかし、副業人材が、私やスタッフに対して熱心に働きかけている姿に刺激を受けたのか、スタッフの中でも少しずつ自発的な気持ちが醸成されたように感じます。あるスタッフは「こんなマニュアルを作成してみたのですが、どうでしょう?」と、副業人材の方に自ら提案を持ち掛けたという話も伺っていますし、周りに対してこんな意見も発信していいんだ、と新たな気づきを得たスタッフもいるようです。
副業人材を活用されて感じた事を教えてください
元々根付いていた風土を変えたいと思っていても、自社内だけで変化を起こすのは相当大変です。しかし、今回は副業人材にお手伝いしてもらうことで、転換のための風穴をあけていただいたのではないかと感じています。
また、スタッフの中には私には話せないが、副業人材になら話せる悩みを相談している人もいるようです。これは、至極健全なことだと私は捉えています。当社を知る第三者が相談相手として存在することで、スタッフに心理的なセーフティネットができたことも変化であり、活用してよかった点のひとつです。
未来のビジョンも、副業人材とともに
最後に、将来のビジョンを教えてください
書店業以外にも収益の軸を増やしていく目的から、現在は新しい事業を立案しています。たとえば、宿泊業や飲食事業など、書店業という枠にとらわれない観点で検討中です。また、今回の副業人材との取り組みを経て、スタッフの意識が変わりつつありますし、会社運営を見つめなおすきっかけになっています。私は事業戦略を立てるうえで、考えが凝り固まらないよう、常々「書店業」の枠をあえて外すことが大切だと考えています。その観点でも、次のビジョンを実現するうえで、第三者の目線は必要です。ぜひ、今後も副業人材を活用していきたいですね。
副業人材の眞鍋さんにもお話を伺いました
応募のきっかけと、当プロジェクトの役割を教えてください
私は今までに、さまざまな営業組織のマネジメントを経験してきました。その延長戦上で、直近大学院にて経営を学んだのですが、得た知識をアウトプットしたいと考えたことがきっかけです。この経験を活かし、現在は業務効率化のための取組として、スタッフの方と一緒にマニュアルを制作しています。
プロジェクトを通じて、気づいたことはありますか
地方と都市部で、経営の課題感や、はたらく人の能力に大きな差はないということです。よく、クリエイティブやマネジメントが得意な人は都市部に流れやすいというイメージを持たれがちですが、そんなことはありません。実際、副業をはじめて半年ですが、すでにスタッフの方は、自分から積極的にマニュアルを制作し提案してくださっています。
稼働当初、制作そのものにも心理的に二の足を踏んでいた頃と比べると、自走に向かって着実に進まれている手ごたえがありますし、スタッフの方も自走されるだけの能力をお持ちだということです。現場を体験することで思い込みを覆されましたし、その一連が自分自身の学びにもつながっています。
プロジェクトを通して、工夫された点や、気を付けていることを教えてください
関わる相手をよく知ることと、相手に対して自分の考えを押し付けすぎないことです。前者は、最初にスタッフの方一人ひとりに対しヒアリングシートを元に、ご自身の好き嫌いやキャリアビジョンなどをヒアリングさせていただきました。そのシートをもとに、相手への理解を深めながらコミュニケーションを取っています。
後者は、改善に向けてお任せしたいことや、施策実行のスピーディーさをどうしても求めがちですが、相手にも本来の業務や事情があります。こまめな接点を取り、双方で目線をすり合わせながら進行していくことが大切だと思います。