1961年創業、段ボールを中心とした「パッケージ製品」の企画開発から製造・販売までを一貫して担う老舗メーカー。直近では新たな若手を迎え入れるため、ホームページ、ロゴ、ユニフォームなど、さまざまなコーポレートブランドの刷新に取り組む。

自社にない知見を、副業人材から取り入れる

副業人材を募集したきっかけを教えてください

 当社が抱えていた課題のひとつに若手の離職があり、ここ数年間、新卒・中途採用によって社員年齢自体は徐々に若返っていますが、離職率もゼロという訳ではありませんでした。これからの未来を見据えたときに、まず当社の若手社員に、この会社を選んでよかったと実感してもらい、前向きな気持ちで活躍してもらうことが大切だと考えていました。また、多くの若者がここで働きたいと思ってもらえるような魅力的な情報を発信していくことでミスマッチも減っていくので、まずは採用ブランディングの強化が不可欠だと思い、ホームページのリニューアルを検討していました。しかし、当社はホームページに関するノウハウが乏しく、ホームぺージの更新が5年止まっている状態でした。そこで、外部の人材の力を借りながら、この課題を解決していきたいと思い、今回の副業人材募集でご協力いただける方を募集することに決めました。

 

実現ハードルを取り払う提案、プロジェクトの実行を決意

募集した時の状況はいかがでしたか

 合計で15名の方からの応募がいただき、今までのご経歴をもとに、まずは4名の方と面談することに決めました。前半2名の面談を行う中で、それぞれにホームページリニューアルにかかる費用イメージを提示いただいたのですが、当初考えていた予算の想定をはるかに超えていました。率直にここまで費用がかさむのかと、改めてリニューアルに立ちはだかる現実を突きつけられた気がして、このプロジェクトは本当に実現できるのだろうかと、不安に感じていました。

 

リニューアルへの不安はその後、どのように変化されていきましたか

 残り2名の面談の方と面談を進める中で、その不安を払拭する提案をいただき、前に進むきっかけを作ってくれたのが、今回マッチングした副業人材でした。その内容はクラウドサービスを利用することで、いくらかコストを安く抑えてリニューアルできるといったもので、我々にはない斬新なアドバイスでした。何よりも副業人材の説明が分かりやすく、これなら行けると確信し、安心してプロジェクト実行に踏み切ることができました。

 

副業人材との関わりで、自社の魅力を再発見

副業人材とどのようにプロジェクトを進めていますか

 すでにプロジェクトが開始しているため数回実施しており、1回目は副業人材から、今のホームページに何が足りないのか、またどのように変えていくか、ホームページ設計の基本的なところから提案をいただきました。2回目以降は、ホームページに載せるコンテンツ内容を決めるために、企業理念や、ロゴ・ユニフォームに込められている想いなどをヒアリングしていただき、そこから出来上がったものをお互いに確認しながら、方向性のすり合わを行っています。

 

 基本的にWebミーティングをメインにプロジェクトを進めていますが、4回目には副業者人材の「会社の様子もぜひ直接見たい」という希望で、わざわざ首都圏から鳥取にお越しくださいました。プロジェクトが開始して間もない中ですが、既に当社にとって非常に心強い存在になっています。

 

実際にプロジェクトを進める中で、得られた気づきはありますか

 自分たちの魅力を、再発見できたことだと思います。というのも、当社が扱うメイン商材は段ボールかつ誰にでも馴染みのある商品なので、最初はホームページに載せられる情報があまり多くないのでは?という思いがありました。

 

 副業人材がとのミーティングの際に、「段ボールのことでも、それ以外でも、どんな些細なことでもいいので、ぜひ教えてください」と言っていただいたので、段ボールの基礎的な情報をお伝えしました。その中で、ミーティングに参加していた営業社員にも意見を求めたところ「僕たちの強みは、お客様のご要望がどれだけ小さくとも、しっかり拾い上げることだと思います」という意見が出ました。副業人材もすかさず、「それも御社の特色ですね。魅力的に発信する方法を考えましょう」と言ってくださいました。自分たちでは当たり前だと思っていたことが、外部から見ると魅力に映ることに改めて気づかされた瞬間でした。このプロジェクトは、自分たちの考え方に新たなアイディアをくれる、よいきっかけにもなっていると思います。

 

最後に、副業人材活用を検討されている方へのメッセージをお願いします

 今回ご一緒した副業人材は、自分の目で、耳で、手足で、私たち現場のことを知ろうとしてくださるスタンスなので、とてもありがたいです。費用感を含め、自社の課題について相談できる方との「マッチングの場」としては、最適と言えるのではないでしょうか。

 

副業人材にもお話を伺いました

応募された背景を教えてください

 私は今までの職歴として、営業、広報、プロモーション全般を担当してきました。この一環で、ホームページリニューアルのプロジェクト統括にも携わったことがあったため、その経験をそのまま活かせると考えたためです。また、Instagramの運用を支援したこともあり、リニューアルだけでなく、SNS活用の面でも尽力できるのではないかと思い応募しました。また、三和段ボール工業さんが「伸びしろを秘めた企業」だったことも大きいです。というのも、段ボール市場は、全体的にまだレガシー的な側面も多いのではないかと思っていました。その中で、時代に即した変化を求める三和段ボール工業さんが、情報技術を取り入れることでどんな化学反応を起こすのか、見届けたいと感じたことも決め手でした。

 

当プロジェクトによって、得られた経験や気づきはありましたか

 まずは何より、自分の世界が広がりました。たとえば、段ボールひとつとっても、「A式」「B式」など、いろいろな種類があることをはじめて知りました。こうした専門用語や業界慣習に触れるたび、新たな発見の連続ですし、別の領域でもこれらの知識は必ず役に立つと信じています。