マッチング事例 CASE.12たにがみ農園
- 副業
- 週1副社長プロジェクト
梨の名産地佐治にて70年以上にわたり梨の生産を行なっている。SNSを通じた情報発信、加工品の販売、個人客に向けたECの積極展開など、歴史を守りながら日々新しい取り組みを行なっている。
販売ノウハウなど栽培以外の知識が欲しかった
副業人材を募集した理由と当初の課題を教えてください
10年ほど前からネットを通じて個人に直接販売する流れが世の中に広がってきて、たにがみ農園でも個人への販売を始めました。
しかし、それまでは生産した梨はすべてJA(農業協同組合)に卸していたので、私たちには販売に関する知識やノウハウがなく売上を伸ばす方法が分からず壁にぶつかりました。
そんな折、「とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点」から県の副業人材活用事業を紹介されたんです。
実は、これまでもいろいろなコンサルタントの方から、ホームページの作成や販売戦略について連絡はいただいていたんですが、内容の判断ができなかったためすべて断っていました。
でも、今回は県が行っているプロジェクトだったので安心でした。これまでも県が行っている事業には積極的に参加していました。
求人票の記載を仲間に手伝ってもらい2名採用
たにがみ農園さんは家族経営ですよね。これまで採用経験などはあったのですか?
繁忙期に地元の知人にアルバイトをお願いすることはありましたが、今回のように求人票を作成し、きちんとした形で人材募集をするのは初めてでした。最初は戸惑いもありましたので、先に副業人材の募集をしていた親しい企業の方に相談もしました。
求人の入稿はWEBでしたが、規定のシートに記載するだけですので、特に戸惑うことはなくスムーズに出来ました。
応募は15名もあったんですよね
ええ。早い段階で15名もの方から応募がありました。応募数が多く応募書類の確認、人選は時間も要し大変だろうと思ったので途中で掲載をストップしてもらいました。応募いただいた方はスキルや経験などがさまざまで人材の幅がとても広かったです。求人の段階でもう少し具体的なスキル・経験の要望を記載しておいたら人選も少し楽になったかなと思います。
せっかくご応募いただいたので、まずは全員にお電話を差し上げ、改めて志望動機や施策などを聞きました。そこから半数ほどに絞ってWEB面接を行い、最終的に2人の方の採用を決めました。
その方に決めた最終的な理由を教えてもらえますか?
農作物のマーケティングはもちろん、中小企業診断士の資格もお持ちで、農家の経営コンサル全般を手がけている方だったので、まさに欲しい人材でした。その方は首都圏でもクライアントを持っているのですが、そのクライアント農家を私が知っていたことも、ポイントでしたね。実際、求人票では「王秋梨」という梨のマーケティングとの内容でしたが、WEB面接を行うと経営全般の相談に乗ってくれることでしたので、採用を決めました。
「何をやってもらうか」から相談ができる
具体的にどのような業務をお願いしたんですか?
経営全般の改善をお願いしています。そもそも私たちが「マーケティングって何?」といったレベルでしたから、具体的に何をお願いするのか、どこから改善していった方がよいのか、そのような販売の初歩の相談から始まりました。
実際に経営状況を見てもらうと、まずは顧客管理をシステム化し、売上を分析しましょう、と提案してくれました。具体的にはこれまでバラバラであった顧客ごとの購買記録を、しっかり整理しようと。その方が提供してくれたソフトいうかシステムに沿ったかたちにするよう、現在私が作業している段階です。
副業者とのやり取りは順調ですか?
副業者さんから指示された作業を進めているのですが、通常業務もあるので思うように時間が取れずなかなか進められていません。ある程度進んだら、その内容を確認してもらったり次の段階に進むなど、週に一度ほどの割合で連絡を取っています。
また、全てがオンラインでのやり取りということにも戸惑いがありました。1名の方は首都圏在住のため、コロナウイルスを考慮し鳥取への来訪は控えてもらっています。私はもともと人の表情を見てコミュニケーションを取るタイプなので、オンラインのみでお互いの気持ちや伝えたいことが適切に伝わっているのか分かりづらいというもどかしさが当初はありました。
今では多少慣れましたが、コロナが終息した暁にはぜひ鳥取に来訪していただきたいです。
また、あくまで”副業”というところで遠慮もあり、何をどこまでお願いするか、さじ加減がむずかしいと感じています。ただ、この先も長くお付き合いしたいと考えていますので、今は思ったことは何でも言うようにしています。その上で、できる、できないは、向こうに決めてもらえばいいと考えています。
“攻め”のマーケティングノウハウを身につけるのが当面の目標
副業人材を迎え入れてよかったですか?
もともとマーケティングノウハウも含め、経営全般の改善をしたいと思っていたので、それができている今の状況に満足しています。うちの場合は特定のスキルを提供してもらっているというよりも、経営について改めて勉強させてもらっている感じです。副業者さんから学ぶことは目から鱗の内容が多いです。私たちはどうしても生産者の目線で考えがちですが、副業者さんは販売をゴールとしてロジックで経営を考えています。まだまだ勉強中ですが経営のノウハウを習得し、次のステップに進みたいですね。
具体的な目標などはありますか?
これまでは注文者に販売する流れでしたが、これからはデータをもとにこちらからDMを打つなどして注文数を増やしたいと考えています。カッコよく言えば、攻めのマーケティングです。
農家は他の業種と異なり、各種開催されている研修でも販売技術を学ぶことはほとんどありません。お願いしている副業者の方は鳥取県より梨の生産が盛んな千葉県などでのマーケット情報を持っていますし、全国の農家の販売手法も知っていて学ぶことがとても多いです。今後、成果が出た暁には私が教わったことを地元の農家仲間に紹介したり、あるいは地元の農家を集めてその方を招き講演してもらうような、そのような機会にまで発展すればいいと期待しています。